頭痛肩こり樋口一葉 [観劇・Stage・Live]
8月8日、こまつ座第100回記念公演「頭痛肩こり樋口一葉」を観に紀伊國屋サザンシアターへ。
この作品はこまつ座旗揚げの作品。物語の始まりは明治23年(1890年)樋口夏子(樋口一葉)19歳の盂蘭盆。
以後、一つの例外を除いてお盆の16日(旧暦7月16日)の夕方から夜にかけて描かれており、毎年お盆の時期に
上演されることを想定して書かれた戯曲なんだそう。今回は演出、キャストが一新しての再演です。
【STORY】
明治の半ば、樋口の家は貧しかった。父や兄に先立たれ、仕方なく樋口家の戸主となった
樋口家の長女・夏子(樋口一葉)は、母・多喜の期待や妹・邦子の優しさに応えようと、孤立奮闘する日々を送る。
和歌で自活できないことを知り、小説で身をたてる以外に道はないと悟った夏子はただひたすら筆を走らせる。
「ただ筆を走らせるためだけに身体をこの世におく」とそう心に決めた時、夏子の前に現れたのは、
彷徨える幽霊の花螢だった・・・。
夏子と花螢のユーモラスな交友、そしてたくましく生きる明治の女性たちの姿を主軸に描かれる
井上ひさし版樋口一葉像。二十二の短編と四十数冊に及ぶ日記と四千首をこえる和歌の詠草を残し、
二十四歳六ヶ月で夭折した明治の天才女流作家・樋口一葉と、様々な境遇を背負った五人の女性が織りなす、
切なくて、楽しい幽界(あのよ)と明界(このよ)にまたがる物語・・・。(紀伊國屋サザンシアターより拝借)
【STAFF】
作 = 井上ひさし
演出 = 栗山民也
音楽 = 宇野誠一郎
【CAST】
樋口多喜 = 三田和代
樋口夏子(一葉) = 小泉今日子
樋口邦子 = 深谷美歩
稲葉鑛 = 愛華みれ
中野八重 = 熊谷真実
花蛍 = 若村麻由美
幕が上がると、提灯を手にした少女たちが歌を歌いながら登場。
……
でかっ!Σ(・ω・ノ)ノ!
愛華みれ、でけ~~~~っ!
小学校3年のクラスに、ひとりだけ大人体型の子がいるような感じで、ひとりだけでかい。
その愛華みれが演じるのは稲葉鑛。多喜が乳母をやっていたため、皆からはお鑛さまと呼ばれます。
時代の波にのまれて苦しい生活を送っている鑛も、世が世であればお姫様という身分。
きっちり躾けられ、それでいて素直に育ったんであろうお鑛さまの人柄が随所に見受けられ、
さらにスッとのびた姿勢も好感が持てます。
この役、宝塚出身の人が演じることが多いのは何となくわかるような気がします。
しかし、でかい。
普段は気にならないのですが……少女を演じるときとあと一か所。
後半で中野八重と修羅場になったときは……。
鑛が八重を出刃で刺し、八重は鑛にしがみつき、どぶ池へ引きずり込んだというのですが……
八重を演じたのは熊谷真実。小柄な熊谷真実がしがみついたところで、蝉が木に止まったようなものなんじゃ……(^^;
逆ならわかるよ~、逆なら、と心の中で突っ込んでいたのは私だけなんだろうか?(;^_^A アセアセ
その八重は武士の娘。真面目だけれど、苦労の多い境遇。
一時は結婚して裕福になったけれど長くは続かず、結局は騙されて、売られて女郎になってしまう。
新演出、落ちぶれた八重の身なりなどの悲壮感が以前よりアップしてます。
八重さんのような人なら、たとえ仕事の合間であっても、仏様に手を合わせにやってくるのに
髪の乱れや襟くらいは直してきそうなものですが……(ーー;)
これは好き好きが別れると思うのですが、演出が変わったため、遊びやくすぐりが減って
全体にそれぞれの性質などがきつく感じんですよね。
三田和代演じる多喜の厳格さ(といっていいんだろうか?)。外面ばかりよくて家では愚痴や文句ばかり。
以前の演出だと、もう少しかわいげがあったと思ったんだけどな。
ただ、だからこそ、三田和代・多喜のラストシーンでの変わりようが際立ってくるのかもしれないけれど。
そして幽霊の花蛍さん。
もう、これはね。以前の演出の「頭痛肩こり樋口一葉」だったらわかると思いますが、
新橋耐子の花蛍さんの印象が強すぎるんですよね。
だから比較しちゃいけないのはわかってますが、風に揺らめく柳のような新橋耐子の花蛍に対して
きびきびとした若村麻由美・花蛍。
その反面、小泉今日子演じる夏子は、それまでに見た夏子よりもけだるい雰囲気。
長兄が病死し、病弱な次兄は分籍し家を出て行ってしまい、長女は初婚に破れ、再婚。
そんな中で次女であるにもかかわらず戸主になった一葉。
樋口家を守るために、母が望まない相手(長男)への淡い恋心も諦めます。
冒頭で
「ここが虎兄さん(次兄)のおうちなの」
「虎兄さんは当分帰ってこないと思うわ。お母さんと口争いをして、怒っておうちから飛び出して行ってしまったの」
という邦子(夏子の妹)のセリフがあったので、お兄さんがいるのにどうして夏子が戸主なんだろうと
疑問だったのですが、こういう理由があったんですね。
樋口家を、母の期待を一心に背負って、責任感の強い夏子は
水を含んでぐっしょり濡れた布団をまとっていたようにずっと疲れが抜けなかったんだろうな~と想像できます。
タイトルの「頭痛肩こり」ですが、樋口一葉は頭痛や肩こりに悩んでいたんだとか。
ひどい近眼だったそうなので、そのせいで頭痛や肩こりがあったんじゃないかしら?
夏子の妹の邦子を演じたのは新国立劇場演劇研修所出身の深谷美歩。
細やかな気配りができ、そしてたくましい邦子が印象的でした。
ラストでたったひとりになり、母が残した借金のツケが回ってきた邦子ですが、
樋口家の系譜を見ると結婚して子を11人もうけたようで……なぜだかホッとしました。
そんなこんなで、新橋耐子の花蛍に会いたくて、久しぶりにビデオ鑑賞。
テープが劣化したのか、一部画像が止まってしまうところがあったのが……(ノ_・。)
この物語のときはお盆の16日ですが……今日が旧暦の7月16日でした♪
ヅカ出身の方は やっぱり相当大きいのですねぇ~(@@;)))
by 獏 (2013-08-23 05:19)
なるほど、でか過ぎですか~f(^_^;
変なところで違和感を持ってしまうと、ソコが気になってお芝居に集中出来ないって事もありますよね(^^ゞ
by アルマ (2013-08-23 09:07)
樋口一葉についてはチャンとした書籍を読んだことがなくて・・・何となくイメージするのは、貧しい暮らしの中で24歳の若さで亡くなった不幸な人って感じなのですけれど・・・
そこには逆境に負けないで強くたくましく生きる、明治の女性の姿があったと言う訳なのですね。
舞台ならではの・・・三田和代、新橋耐子と言った女優さんの出演は嬉しいものです。
主演が小泉今日子って?ハッキリ言って嫌い。だからシツコクゴリ押ししている、「あまちゃん」も見ていません。
興行としては仕方のないことなんでしょうか。
by hana2013 (2013-08-23 13:08)
樋口一葉は名前は知ってますが、どんな人物かは良くわかってないです。
これは、色々とあって楽しそうですね。
by たかぼん (2013-08-23 23:33)
自分も頭痛と肩こりに悩まされるので、樋口一葉に親近感を感じました^^;
…でも、あんまりお財布に中に入ってないなぁ…(・_・;)
by 下総弾正くま (2013-08-24 08:10)
「でかっ」よく言われたなぁ~~~(^^;
by ちょろっとぶぅ (2013-08-25 15:16)
私も通りすがりのオヤジに「でかっ!」と言われます・・・;
杏ちゃんと同じ身長だからね~
でも、長身は、肥満と違って、自己責任でもなければ、努力で低くなれるものではないので、あまり言わないでくださいよ~;
by くま・てーとく (2013-08-28 00:07)
★獏さん
プロフィールを見ると168cmなので、それが本当なら
女性だけの演目だから大きく見えたということもあると思いますが……。
by hatsune (2013-08-28 00:34)
☆アルマさん
以前、三木のり平だったかの本を読んでいたときに、(時代劇で)
「そなたそなたって、ピアノソナタじゃあるまいし」ということが書いてありました。
貴方を指す“そなた”って“そ”にアクセントが来るのではなく、平坦な発音が正しいんだそうで。
それ以来、時代劇を見ると「そなた」のアクセントが妙に気になってしまいますf^_^;
by hatsune (2013-08-28 00:39)
★hana2013さん
樋口一葉は大学時代に「にごりえ」を読まなければならなかったのですが、
何度チャレンジしても途中で眠ってしまい、いまだに読めずにいますf^_^;
こういう舞台を観ると、せめて一度は読んでおかなくては……と思うのですが……。
by hatsune (2013-08-28 00:49)
☆たかぼんさん
こまつ座の中でも人気の演目の一つです(*^_^*)
ただ、私の好みは慣れもありますが、以前の演出のほうなんですよね~。
by hatsune (2013-08-28 00:58)
★下総弾正くまさん
くまさんのお財布の中は、諭吉さんばかりなんですね(^_-)-☆
by hatsune (2013-08-28 01:00)
☆ちょろっとぶぅさん
ぶぅたんさん、背は高いけど、すらっとしているから
でかいって感じはしなかったですけど……。
by hatsune (2013-08-28 01:01)
★くま・てーとくさん
なかなかの高身長さんですね。私はどっちつかずの中途半端なので
背が高い人が羨ましい反面、小さい人も羨ましい……。
舞台で大林素子を観たとき、さすがに背が高いな~と思ったけれど、でかいとは思わなかったので
愛華みれのでかさって身長のせいだけじゃないような気がします。
坂東玉三郎が女形を演じるときに、背を低く見せているように
男役の頃に大きく見せるような姿勢をとっていたのが染みついているんじゃないかな~?
通りすがりのオッサンに「でかっ!」と言われたら、
「ちっさ!」と言い返し……たらケンカになりますねf^_^;
by hatsune (2013-08-28 01:13)