『たいこどんどん』千穐楽 [観劇・Stage・Live]
井上ひさし原作、蜷川幸雄演出の『たいこどんどん』を観に、5月28日はBunkamuraシアターコクーンへ。
Bunkamuraシアターコクーンに行くのは、3月17日の『日本人のへそ』(これまた井上ひさし原作)以来で……
あの時は、余震に怯えながら劇場に向かったんだよな~と、そんなことを思い出しながらの鑑賞です。
時は幕末。日本橋は駿河越後屋呉服店前の七つ時。たいこもちの桃八(古田新太)が、
江戸で指折りの薬種問屋鰯屋の跡取り息子、清之助(中村橋之助)と待ち合わせをしている。
折からの雷雨。人々が越後屋の貸し出す番傘をさして行き交うなか、蝙蝠傘をさした清之助が現れる。
二人が目指すのは、若旦那ぞっこんの女郎、袖ヶ浦(鈴木京香)がいる品川小菱屋。
そこで出会ったひげ侍たちとのひょんな諍いがもとで、二人は品川の沖を漂流するはめに。
これが九年にわたる珍道中のはじまりとなった。
運良く千石船に拾われて、流れ着いたのは陸中の釜石。
旅籠に腰を落ち着けたと思ったのもつかの間、思いがけない災難が二人に次々と降りかかる。
若旦那にどんなに手ひどく裏切られても、尽くし続ける桃八。
時に離ればなれになりながら珍道中を続ける二人だが、
放浪の果てにたどり着いた先に待ち受けるものとは──? (Bunkamuraホームページより拝借)
この作品は、前回観た『日本人のへそ』と同じように、井上ひさしの初期の作品。
「僕は井上さんの初期に近い作品の猥雑にして卑猥、卑猥にして抒情的な、
抒情的にして滑稽、滑稽にして哀しい作品が好きなんです」(蜷川幸雄)
とあるように、またしても「下(しも)」(古田新太)「エロチック」「エロエロ」(宮本裕子)ですが、
「明るいエロス」(六平直政)というのが、いちばん合っているかもしれません。
“明るい”から、家でご飯を作っているとき、劇中の猥歌を口ずさんじゃったりするんですよね~f^_^;
唄あり、三味線ありのこの舞台。
ステージ左右にある電光掲示板に歌詞が流れるのですが、私の席は前のほうだったので
ステージと歌詞とを同時に視界に入れるのは、ちょっとキツかったですorz
ちやほやされてきた若旦那と、そのたいこもちの桃八。
それまでふわふわ楽しく生きてきた二人が、ひどい目に何度も遭いながらも、どこかに
二人でいればなんとかなる、二人でいるからなんとかなる、と考えているように感じられ、
ここまで悲惨ではありませんが、『默阿彌オペラ』にも通じているような気がします。
何があってもめげずに生きていくこの姿勢、見倣わなくちゃなりませんね。
中村橋之助の若旦那姿がしっくりしているのはもちろんですが、
井上芝居だからあると思っていた古田新太の長台詞に圧倒されたり、
茂手木桜子の摂食障害かと思うほどの腕や脚の細さに目が釘付けになったりしましたが、
なにより鈴木京香がよかった!
歌になると自信がないのか、聞き取りにくくなったけどね。
今回演じたのは女郎の袖ヶ浦(しかしこの袖ヶ浦という人、女郎としては客あしらいがヘタだよね~)のほかに、
釜石の旅籠のおとき、お熊、柏崎の乞食婆、江戸の住人、東京の娘の6(?)役。
おときとお熊は、袖ヶ浦の面影を残しつつも、たくましくて、強くて、ずるくて、悪い女。
この人、和風の顔立ちだと思っていましたが、メイクによっては派手になるんですね。
若かりし頃の石井苗子みたい(派手顔好きの私としては褒めているつもりだけれど、
世間的には褒め言葉になっていないかも(^^;)で、
お歯黒を塗った歯を見せて笑う様は、ぞっとして、だけど妖しげな魅力がありました。
日本のドラマや映画はほとんど観ないので、私の勝手なイメージかもしれませんが、
鈴木京香って、おとなしいけど芯がしっかりしている役の印象だったんです。
だけど、こういうヴァンプも意外に合ってる!
どんなあけすけなセリフも、いやらしぃぃぃぃくならないだけの品があるからいいですね。
鈴木京香が露骨な仕草とセリフを言い残して去っていくその背中に向かって、
「そんなことも演(や)るんですね」
と古田新太。笑いを堪えているその背中に追い打ちをかけるように
「来る役が変わってくると思いますよ」
「いいと思います!」
うん。私も来る役が変わった鈴木京香だったら、テレビを観ちゃうかも。
笑ってしまったのは、またぎのような毛皮を着た六平直政に、古田新太が
「何の毛皮ですか?」
「モモンガ」
「モモンガ?」
「モモンガの背中のとこ」
モモンガの毛皮でベストを作ったら……いったい何匹モモンガが必要なんでしょうねぇ(笑)。
これはアドリブだったのかな?
ところで、私はたとえばモデルだったりが人気があるからという理由で
ろくに演技のレッスンもしていないのに、ちょこっとドラマに出ただけで、
私は「俳優」「女優」でござい、なんていうのが大っきらいなんですが(笑)
そういう意地悪な目で注目していたのが大林素子。
ではありましたが、じっとりとした女っぽい女郎役が似合っていました。
ラストの江戸の住人の時も、芸者メイクそのままだったのか
濃いメイクが髪やきものとちぐはぐな印象でしたが、女郎や芸者役はいい!
残念ながら太夫にはなれないことを自分でもわかっているけれど、
中身は誰よりも女っぽい女郎。
新潟の芸者のとき、胸を揉みしだかれているところなんか
本当に喜んでいるようにも見えてくるくらいで(*/∀\*) イヤン
ただ、背が高いのに上目遣いをしての演技を見ていると、だんだん
楽しんごに見えてきて困りました(^-^;
【CAST】
中村橋之助 = 清之助
古田新太 = 桃八
鈴木京香 = 袖ヶ浦/江戸の住人/釜石甲子屋のおとき/お熊/柏崎の乞食婆/東京の娘
宮本裕子 = 藤ノ浦/江戸と東京の住人/千壱番/お篠/釜石の芸者/子ども
大石継太 = 品川小菱屋若い衆/江戸と東京の住人/外国奉公配下役人/船子/文吉の手下/
釜石の小間物屋手代平吉/遠野の馬商人/山賊/柏崎の商屋番頭風の男
大門伍朗 = 品川小菱屋主人/江戸と東京の住人/釜石甲子屋主人/遠野の馬商人/
新潟鶴屋の主人/佐渡おけさを歌うだれか
市川夏江 = 江戸と東京の住人/盛岡の地芸者/子ども/柏崎の乞食
大林素子 = 里ノ浦/江戸と東京の住人/盛岡の地芸者/新潟芸者
飯田邦博 = ひげ侍/江戸と東京の住人/船子/釜石鉱山の番人/遠野の馬商人/山賊/
文吉の手下/柏崎の通行人
塚本幸男 = あばた侍/江戸と東京の住人/船子/釜石鉱山の番人/遠野の馬商人/山賊/
柏崎の乞食
立石凉子 = 魚婆/江戸と東京の住人/品川小菱屋上座敷の女郎/釜石の芸者/子ども/
柏崎の乞食
六平直政 = 片目侍/江戸と東京の住人/目明かし喜平/雷の大五郎/新潟の目明かし文吉/
柏崎の乞食
瑳川哲朗 = 船頭栄蔵/江戸と東京の住人/遠野の亀屋/新潟の鱗屋
【STAFF】
井上ひさし = 作
蜷川幸雄 = 演出
伊藤ヨタロウ = 音楽
6月も井上芝居を見に行きますが、これも古い作品なので、
また“明るいエロス”なのかしら~(^^;
文字ばかりになってしまったので、お正月に買ったサボテンのその後でも……。
一度ダンナがひっくり返したにもかかわらず、すくすく成長しています。上に。
育ってくれるのは嬉しいけれど、丸いほうがかわいかった……orz
お花咲かないかな~。
記事をず~~~~~っと読んできたら、どうしても見たくなりました。
愉しそうなお芝居だなあ。
でももう千秋楽...残念だ。
胸を愉しそうにもまれる大林素子...想像できない!
by ナツパパ (2011-06-05 22:41)
面白そうですね。
古田新太・・・やっぱりと思ってしまいました.(笑)
豪華なメンバーなので楽しみだし、スタッフもいいですね。
でも、ひとりで役柄がいろいろあるというのが少し
びっくりしました。
それと大林素子がついていけたというのがある意味新鮮でした。
by pon (2011-06-05 22:49)
最近お芝居とか見てないなぁ・・・(^^ゞ
サボテン、確かに丸い方が可愛いです・・・(#^.^#)
by アルマ (2011-06-05 23:02)
文章を読んでいて、引き込まれました。
面白そうなお芝居なんですね♪
生の声や音って、きっと映画やテレビとは違った迫力があるのでしょう。
ストーリーも面白そう。\(^o^)/
by sara-papa (2011-06-05 23:33)
舞台とTVだと全く評価の異なる俳優さんっていますよね。
TVだと注目するところがアップになりますが舞台だとそうはいきませんので
注目どころを自分でも探しながらの観劇はまた一味違う気がします。
ところでサボテンは一瞬ケーキかと思いました。
by punchiti (2011-06-06 08:01)
演劇、ときどき見に行くんですが、井上ひさし先生の劇は
見たことがありませんでした。
なんか、面白そうだな、と思って、見に行きたい気分ですよ。
サボテン、どんどん上に伸びてきますよ(^_-)-☆
by MERRY (2011-06-06 09:09)
>>家でご飯を作っているとき、劇中の猥歌を口ずさんじゃったりするんですよね~f^_^;
よね~~って、これに同意する奥様少ないのではないかと思いますが。
一度聴かせて下さい(笑)。
by aranjues (2011-06-06 13:09)
こんばんは
フルーツケーキのようなサボテンに食いついてしまいました^^;
それにしても面白い育ち方ですね
アコーデオンのように一部が伸びたりして大きくなるのかな?
by gardenwalker (2011-06-07 00:21)
お芝居いいなぁ。
東京はいいお芝居がたくさんあって羨ましいな。
サボテン、並べるとほんと大きくなってますね。
お花咲くといいですね^^
by まる (2011-06-08 01:32)
nice&コメントありがとうございました。
福島原発の収束と被災地の一日でも早い復旧を願っています。ソユーズ打ち上げ成功!古川さんの活躍に期待をしております
by kawasemi (2011-06-08 11:42)
最近、お芝居とか見にいけてないなぁ。。。
大阪は日程が短いので、なかなかです。
by ちょろっとぶぅ (2011-06-08 17:51)
★ナツパパさん
頑張って楽日のチケットをゲットしました♪
本当は半ばあたりに一度見て、楽日に楽しむというのが一番でしょうけど……(^^;
井上ひさしさんは亡くなっているのに
遅筆堂→初日間に合わない→なるべく遅い日のチケットをとっておけ~!
という思考になっています。
by hatsune (2011-06-08 18:50)
★ponさん
古田新太、最近女性関係で話題になりましたが、舞台を見ていて
「この人も口説いたのかな~?」という妄想が……(^◇^;)
ムイミダスや現代用語の基礎体力など見たことはありますが、
関西のponさんのイメージする古田新太は、また違うイメージがあるのでしょうか。
大林素子に関しては、正直私はあまり好きではないのですが
それでも、今回の役は合っていたと思います。
いつの間に、舞台に出るようになったの~~~?という疑問もありますが……。
by hatsune (2011-06-08 18:59)
★アルマさん
成長した現在進行形のサボテン……
スリムクラブの内間に見えて仕方がありません(^^;
by hatsune (2011-06-08 19:02)
★sara-papaさん
生の舞台は、なにかトラブルがあっても続けるしかないですからね~。
基本的にNGがない世界の緊張感や、とっさの対応が好きなんです♪
あと、この舞台は違いますが、音楽の生演奏なんかもいいですよ~♡
by hatsune (2011-06-08 19:05)
★punchitiさん
自分が観た舞台がたまにテレビ放送やDVD化されることもあるのですが
「いやいや、そこは○○のアップでしょう」
なんてツッコミを入れてしまいます。
舞台全体を見ながら、かつ誰かに注目できる
人間の目の機能ってすごいんだな~って
ヘンなところに感動してしまいました。
by hatsune (2011-06-08 19:10)
★MERRYさん
井上ひさしって頭がいいから、きっと難解なものを書くんだろうな~
と思いながら、当時の彼氏(ダンナじゃない(^^;)に誘われて
『默阿彌オペラ』を見たらはまってしまいました。
サボテン、ダンナがひっくり返したとき、
中に土がほとんどないのがわかりましたが、それでも育っています。
植え替えてあげたほうがいいのかな~。
by hatsune (2011-06-08 19:13)
★aranjuesさん
えっ! 皆さん歌わないんですか?(笑)
私は感化されやすいので、猥歌に限らず、すぐに歌っちゃうんですよね~。
家の中で歌おうが踊ろうが、ダンナは
「奥さん、楽しそうだな~」
というスタンスで、基本的に放置されていますorz。
by hatsune (2011-06-08 19:22)
★gardenwalkerさん
食いついたら、痛いですよ~っ!
って、そういう意味ではないですねf^_^;
全体に大きくなるのかな~? と思っていたのですが、
先端が成長しているようですね。
いまはスリムクラブの内間に見えて仕方ありません(__;)
by hatsune (2011-06-08 19:28)
★まるさん
震災後、もし東京が避難区域になったら~という話をダンナとしたのですが、
うんと年を取っていて、動くのがおっくうになっていなければ
とっとと引っ越すと言うことで一致。
さらに私の希望は、静岡、名古屋、大阪、福岡。
芝居公演の多そうなところです(^^)v
昔、福岡に『壁抜け男』観に行ったんですよ~♪
by hatsune (2011-06-08 19:34)
★kawasemiさん
おおっ、盛りだくさんですね~♪
明るいニュースはいいですね♪
by hatsune (2011-06-08 19:49)
★ちょろっとぶぅさん
私が仕事を探せない理由が、これなんです~(^^;
楽日やそれに近い日に観に行きたいので、観劇の曜日がバラバラ。
結局、「働き始めてすぐに(お芝居を観るから)休みたい」
とはいえないよな~ という理由で、
プータローライフをエンジョイしてます(;´д`)トホホ
by hatsune (2011-06-08 19:58)