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G・G・R(グレンギャリー・グレン・ロス)6月14日 [観劇・Stage・Live]

天王洲銀河劇場で、グレンギャリー・グレン・ロスを鑑賞。

この作品は、作者のデヴィッド・マメットが働いていた不動産会社での経験を下敷きにした戯曲で、

1983年にロンドンで初演。翌年にはピュリッツァー賞を受賞。ブロードウェイでも成功を収め、

92年には映画(邦題「摩天楼を夢見て」)にもなり、マメットの最高傑作と謳われているそうです。

 

花道から登場する石丸幹二のソプラノサックスで、物語が始まります。

 

とある中華料理店の一室。

不動産会社の崖っぷちセールスマン4人の男たちが

それぞれのやり方でピンチを打開しようと画策している。

レヴィーン(坂東三津五郎)は、支社長ウィリアムソン(今井朋彦)に取り入って

契約のとれそうな顧客名簿を入手しようと交渉中。

かつてはセールス・マシーンの異名を持ち、トップセールスマンだったレヴィーンも

今では落ち目。必死だ。

別室には、モス(加藤虎ノ介)とアーロナウ(大鷹明良)の二人。

モスは会社の経営方針に強い不満を持っており、仕返ししてやろうと顧客名簿を盗む計画を企み、

気の弱いアーロナウを巻き込もうとその計画をほのめかす。

また別の席では、ローマ(石丸幹二)が隣の席のおとなしそうな客リンク(テイ龍進)に狙いを定め、

言葉巧みに相手の気を引き契約をとりつけるチャンスを伺っている。

一夜明けて、不動産会社の営業所。顧客名簿や契約書、電話までもが盗まれ、

すっかり荒らされている。

別室で事情聴取が進む中も、彼らのセールス競争は続く。

そして、ひとつの真実が浮かび上がる……。(銀河劇場公演情報より拝借)

 

最初に感じたのは、悲哀。

 

現代劇の三津五郎さんを観たのは初めてでしたが、

かつてはトップセールスマンで、自分がいたから会社がここまで成長したという自負と傲慢さ、

その反面、最近うまくいかないのは運がないからではなく、

もう自分の時代は終わってしまったんじゃないかという不安や焦り、

そして、本当は自分のスタイルが時代遅れになっていることに気づいている

そんな入り乱れた心境が感じられました。

 

その対称にいるのが、ローマ。

悪徳商法のようなやり方で、とりあえずいまは成績もいい。

ローマもレヴィーンも、成績を上げることを重要視しているけど、

それでも、どこかふたりは違う。

成績を上げること、つまり自分は仕事において優秀だということに喜びと感じ、プライドとしているレヴィーン。

ローマは……収入が増えることと、それから、もしかしたら

自分の手練手管にバカな客がダマされることに快感を得ているのかもしれない。

だけど、いつまでもそのやり方が通用するのかな?

もう幕が下りているけれど、その先を想像すると、結局は

レヴィーンと同じような道を辿るような気もします。

 

ローマとレヴィーン、そして、

人のいいアーロナウに対して、ガンガン押しまくるモス。

日本人的には、アーロナウってなんとなくわかるんですよ。

口が硬くて信頼できる人。だけど、これだけ個性の強い人たちの中では、とって喰われるよねぇw

アーロナウ役の大鷹明良さんがとって喰われてるわけではなく、アーロナウが、ね。

で、モスという人物の押しの強さ、暑苦しさが、だんだん平成ノブシコブシの吉村に見えてきて……(^^;

 

それぞれタイプが違うけれど、セールスマン4人は、やはり自分たちが会社を回している

という思いがどこかにあるんでしょうね。支社長ウィリアムソンをどこか軽蔑していることは一致。

どうやら縁故入社っぽいウィリアムソン。

外回りをしたこともない頭でっかちのヤツに、たたき上げの営業の仕事がわかってたまるか。

俺らが契約を取ってくるから、会社が成り立ってるんだ、お前なんか、ただ偉そうにしているだけじゃないか。

だから、みんなウィリアムソンに攻撃(手は出さないので、口撃かな?)し放題。

みんなから悪口雑言を浴びせかけられても、ウィリアムソンはそれを黙って受け止めるだけ。

いや、受け流しているのかな?

何かを考えているふうで、それでいて、何も考えていないのかもしれない。

もしかしたら頭の中では、いま暴言を吐いている男に復讐しているのかもしれない。

こういうタイプはキレると怖いんだよね~。

そんな感じで、何も言い返さずにじっとしている。

いやぁ、役とはいえ、ウィリアムソン役の今井朋彦さんって、ストレス溜まらないかしら?(^^;

 

なんとも男臭くて、 これだけ個性が強かったら、日本の会社じゃ勤まらないんじゃない?

と思いつつも、でも、どこかでありそうな、どこかであってもおかしくないような

そんな人間くさい作品でした。

映画も観てみなくちゃ~♪

 

 

ところで、私の近くの席に、

“チャンスの神(髪)様”な酒井敏也さん(この表現が芸能人に疎いダンナに通じたんです~(^^;)が

いらっしゃいました。.

どなたを観にいらしたのかな~?

こういう著名な方は、帰るときにほかのお客さんと一緒にならないように

幕が下りて客席が暗くなった隙に席を立ち、カーテンコールのときには姿を消している

ということが多いのですが……。

なんと、この日、終演後のアフタートークもしっかり観てから帰られました。

 

アフタートークはシャイな雰囲気の演出の青山真治さん、

慣れた雰囲気の石丸幹二さん、満面の笑みが印象的だった坂東三津五郎さんのお三人。

以前にも観たことがありますが、三津五郎さんってこういう場では、本当にくつろいだ、楽しそうな笑顔ですね。

司会進行はぴあの方。

いままでにもいろいろな場でアフタートークを観たことがありますが、

司会進行が劇団関係の方、というパターンが多かったような気がします。

今回、ぴあの方(ゴメンなさい、お名前失念しました)ということで、

質問の構成がしっかりしていて、

このままインタビュー記事にできるような、充実したトークイベントでした♪

こんなアフタートークばかりだと嬉しいのですが……。

 

 

 【CAST】

   リチャード・ローマ = 石丸幹二

   シェリー・レヴィーン = 坂東三津五郎

   ジョン・ウィリアムソン = 今井朋彦

   ジョージ・アーロナウ = 大鷹明良

   デイヴ・モス = 加藤虎ノ介

   ジェイムズ・リンク = テイ龍進

   ベイレン刑事 = 坂東八大

 

 【STAFF】

   作=デヴィッド・マメット

   翻訳=常田景子

   演出=青山真治

 

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アフタートークのときも話題になっていたのですが、この作品、汚い言葉が多い!

映画は観たことがないのですが、映画版も汚い言葉の連続なんでしょうか?

「Shit」(オブラートに包んでみたつもりですが、包まれてないかもf^_^;)に関していえば、

1時間50分の上演時間の中で、64回もあるんだとか)°O°(

それでも……「日本人のへそ」の石丸幹二を観てしまった私にとっては

「Shit」発言くらい、何のその、ですw


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ナツパパ

hatsuneさんの劇評はいつも楽しみです。
最後までずっと読んでしまうんですよ。
すごい観察力と筆力。
この劇も見てみたいなあ、と思いました。
by ナツパパ (2011-06-24 21:07) 

pon

ご無沙汰しておりました。
おおっ観劇シリーズですね。
見てないのですが、読んでて凄くよくわかりますよ。

有名人が見にくるケースって結構ありますが、
最後までとなるとホント珍しいですね。

by pon (2011-06-25 01:18) 

hirochiki

酒井敏也さん、もしやと思って思わず調べてしまいました。
何だか不思議な魅力を持った俳優さんですね。
最近は、どんなドラマに出ていましたっけ?
by hirochiki (2011-06-25 05:12) 

aranjues

酒井敏也さん、私もわからず調べましたよ。
名前と顔がようやく一致しました。
私を旅館に連れてって、、が印象に残っています、
みずきありささんが好きなものですから(笑)。
by aranjues (2011-06-25 08:51) 

rtfk

英語の脚本の「汚い」言葉を翻訳される方は苦労するでしょうね^^)
でも本当に「汚い」雰囲気には翻訳されていないように思えます(^w^)
by rtfk (2011-06-25 16:29) 

hatsune

★ナツパパさん
そう言っていただけると、最高に嬉しいです(*^_^*)
最近はチケットも感熱紙になって、時間が経つと文字が消えてしまうので
観劇した記録を残したいと思って書いています。
ただ、そう思っても、なかなか考えがまとまらずに、
何も書けなかったり、生の舞台のパワーに押されて
しばらく放心していることもあるのですが……f^_^;
by hatsune (2011-06-26 21:57) 

hatsune

★ponさん
お久しぶりです~♪

最後までいるなんて、珍しいですよね~。
酒井敏也さんのお人柄が見えたような気がしました。
by hatsune (2011-06-26 21:59) 

hatsune

★mhirochikiさん
“チャンスの神様”わかりにくかったみたいですね。ゴメンなさいm(__)m
私はドラマをあまり見ないのでわからないのですが、
最近は、バラエティでの活躍も印象的ですね。
by hatsune (2011-06-26 22:04) 

hatsune

★aranjuesさん
“チャンスの神様”わかりにくかったみたいで、スミマセンm(__)m
この表現でわかったダンナがすごいのかな?

日本のドラマをほとんど見ないので、『私を旅館に連れてって』は知りませんでした。
観月ありさといえば、最近、CSで今さらながら『鬼嫁日記』を見ました。
by hatsune (2011-06-26 22:17) 

hatsune

★rtfkさん
汚い言葉も、汚くなりすぎてもいけないので、
無難な程度の言葉に翻訳したのかもしれないですね。
だから、同じ単語が64回も使われていましたが
もしかすると英語ではいろいろな表現を使っていたかもしれないですね~。
by hatsune (2011-06-26 22:20) 

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