『エンロン』2012年4月18日 [観劇・Stage・Live]
天王洲銀河劇場で『エンロン』を鑑賞。
これは2001年アメリカのエンロン社破綻事件を題材に書かれたイギリスの作品。
「オレは頭がいい」と豪語するジェフリー・スキリング(市村正親)は
ケン・レイ(たかお鷹)が会長兼CEOを務めるエネルギー供給会社〈エンロン社〉に迎えられ、
将来の見込み収益を現段階で計上できる会計システム「マーク・トゥ・マーケット」を導入。
スキリングの口から語られる、金の卵を産む鶏のような夢物語はケン・レイを魅了し
いままで路線を貫こうとする、ケン・レイお気に入りのクローディア・ロウ(香寿たつき)を蹴落とすと、
スキリングは社長に就任する。
スキリングの方針の下、入社した大学卒の頭のいいトレーダーたちは貪欲にマーケットを支配していく。
マスメディアにもてはやされ、証券アナリストたちを味方につけたキリングス。
〈エンロン〉の株価は高騰し続ける。
しかし、帳簿上大きな利益を得ていた〈エンロン〉ではあったが、内情は火の車だった。
困ったキリングスは部下のアンディ・ファストウ(豊原功補)に相談を持ちかける。
キリングスと同じように人付き合いは苦手ながらも、会計には詳しく頭のいいファストウは
〈エンロン〉の損失を肩代わりさせるシャドー・カンパニーを作ることを提案する。
時代の寵児〈エンロン〉の機嫌を損ねたくなかった弁護士も会計士も反対はできず、
自分たちの管轄ではないと、責任を他者に押しつけることで暗に認める形となり、
シャドー・カンパニー〈L・J・M〉が作られた。
〈エンロン〉の財政難は一時的なもので、すぐまた収入が見込めるだろう。おそらくそんなつもりで
はじめられた〈L・J・M〉。しかし、〈エンロン〉の経済状態はどんどん悪化していく。
まあ……トレーダーたちを見て思ったけど、
働き始めたばかりの血気盛んな若者が、自分の腹を痛めることなく
何万ドルも動かせたら、そりゃあ興奮しちゃうだろなぁ。
しかも、あの頃のアメリカでしょ。自分が世界を動かしているぐらいの気分になっちゃうよね。
で、大損しても首は切られないんだから、「スキリングすげ~~~」ってなるよねw
このお話は、実際の事件をもとに書かれているので、事件の顛末をご存じの方もいらっしゃるでしょう。
なので書いてしまいますが、
ブッシュJr.時代にカリフォルニアで電力が自由化されると
〈エンロン〉のトレーダーたちはマーケットを操作し、そのことによりカリフォルニアで
多数の死者が出てしまい、〈エンロン〉社は批難される。
そんな折り、〈エンロン〉不正会計疑惑が報じられる。
それまで自分が何か言うと株価が上がっていたのに、いまでは口を開くと
どんどん株価が下がっていくことで、スキリングは時代との蜜月が終わったことに気付くのであった。
そして〈エンロン〉倒産。
証券詐欺や共謀などでケン・レイ、スキリング、ファストウは有罪になるも、
レイは心臓発作(劇中では死因は描かれていませんでしたが)で死去。
スキリングは収監されるし、見終わって
「あ~楽しかったぁ♪」
なんてニコニコ元気になる舞台ではない。
だけど、イヤ~な後味が残らないのは演出の妙もあるのだろうけど、
さすがイギリスで大ヒットした作品だけありますね。
ただ……これが海の向こうの国の物語だからかな、って気もしますが。
どうやらブロードウェイではこの作品、イギリスほどの人気にはならなかったらしい。
プログラムでデーブ・スペクターはその理由を、ブロードウェイが観光客向けになっていること、
アメリカ人にはこの不祥事の記憶が新しくて、素直に興味を持てなかったと挙げていますが、
確かに、日本のここ数年の事件を題材にされた場合を考えると生々しくて、なんだか……ねぇ……。
この作品、舞台を上下に二分割して、会社の上の階と下の階、パーティ会場とオフィス
といった使い方をしています。
なので、後ろのほうの席のほうが見やすそう。
私は前方の席だったからかもしれませんが、暗いところで電光掲示板がチカチカしたり
音楽や効果音が大きいときがあるのには閉口しました。大きな音、苦手なんです。
それ以外は、経済に疎くて「マーク・トゥ・マーケット」の段階で理解できなかったお馬鹿さんの私でも
面白く観られました。
経済犯罪(?)の話ですけど、結局は“人間”の話ですもの。
私はキリングスの言うことがさっぱりわからないお馬鹿さんだけど、
ないものにお金を払うことが理解できないお馬鹿さんでよかったな~って気もします。
ただ、詐欺なんかができちゃう頭の良さには、ちょっと憧れを抱いちゃうところもあるのですが……f^_^;
【CAST】
ジェフリー・スキリング = 市村正親
アンディ・ファストウ = 豊原功補
クローディア・ロウ = 香寿たつき
ケン・レイ = たかお鷹
秋山真太郎 伊礼彼方 植原卓也 末次美沙緒 ちすん 長谷川寧
林勇輔 古川雄輝 松原剛志 満島真之介 宮下今日子
【STAFF】
作 = ルーシー・プレブル
翻訳 = 常田景子
演出 = デヴィッド・グリンドレー
末次美沙緒さん、劇団四季を退団していたんですね。
この日は終演後、森永卓郎トークイベントがありました。
「過激なことはtwitterやブログにあまり書かないように」
と言っていましたが……
……
“あまり”ということは……
……
それは、書いてね♪ということですか~~~~?
夜、ダンナに話したら
「違うだろ」
と突っ込まれましたが……だってぇ“あまり”っていうくらいだから、書いて欲しいのかな、って思ったんだもん。
twitterやブログではなく、ダンナに話の内容を伝えたら
「別にヤバそうなのないな」
って。
ね~~~~っ。だから言ったでしょぉw
「『私が日銀総裁になったら、景気は回復する』って言ってたよ」
「そういうやる気のある人がやればいいんだよ」
「うん。でもさぁ、そういう人がなってもダメだったらショックでかいじゃん。だから、ならないほうがいいかもよ」
ペシミストな私なのでした。
この舞台のCM、良く見ましたね~
エンロンって勝手にフランスだと思ってました(^_^;)
あまり書くな・・・じゃぁフェイスブックで書けば良いってことなのかな(と屁理屈を言ってみる(^^ゞ)
by アルマ (2012-04-22 16:43)
エンロン・・・その名前を久しぶりに聞きましたね~^^)
by rtfk (2012-04-22 20:23)
昨今の日本的に題材を立てれば・・・AIJって感じでしょうか。
でも日本人はあまりこういうネタはNGかもね。
どっちかというとアメリカンドリームじゃないけど、
某国営放送で昔やってた『某ノンフィクション番組』とか
『復活』『日はまた昇る』とかいうキーワードのネタ
好きだしね。。。という私も好きだが。(汗)
by pon (2012-04-22 22:07)
書かないでね→書いてね。私も、そう思っちゃいます。(^^;
by ちょろっとぶぅ (2012-04-23 13:52)
ニュースになりましたねー
US株もやっていたので危なかったです。
by さる1号 (2012-04-23 19:05)
誰が首相や日銀総裁になっても、結果に大差ないのが日本の良いところだったり、
悪いところでもあるような気がしますね (⌒▽⌒)
by hawaiian (2012-04-24 16:00)
こんな事件ありましたね。
他人事だと普通に見れるのでしょうが、自分が被害を被ってたらなかなか見れないのでしょうね。
by たかぼん (2012-04-26 13:40)
★アルマさん
CMやってるんですね。
どうも私はCMになると意識を遮断するスイッチが入るようで
CMというCMほとんど記憶がないんですよねf^_^;
ブログじゃなくホームページならいいとか……(*^▽^*)
文章を短くまとめると、誤解を招く恐れはありますけど
ある程度まとまった文章で、冗談は冗談とわかるような書き方ならOKだと思うのですが……。
by hatsune (2012-04-26 17:06)
★rtfkさん
私は世の中のことに疎くて、聞いたことがあるけどなんだっけ?というレベルでしたf^_^;
by hatsune (2012-04-26 17:07)
★ponさん
まさにAIJですよね。
スキリング、ケン・レイ、ファストウは有罪になりましたが、
AIJはどうなるんでしょうね?(^^;
by hatsune (2012-04-26 17:08)
★ちょろっとぶぅさん
ね~~~~っ( ^^)/\(^^ ) ナカマ!!
特にモリタクだし、そういうお約束を知っていて、
敢えて言ったようにも思えますよね~。
by hatsune (2012-04-26 17:10)
★さる1号さん
“危なかった”ということは、被害は免れたものと推察いたします。
世界中で似たような金融事件がいまも起きているから、怖いですよね~(>_<)
by hatsune (2012-04-26 17:17)
★hawaiianさん
“誰がやっても同じ”のは、失敗したときの被害が小さくて済むけれど
誰にも期待できないのもちょっと寂しいですよね~。
by hatsune (2012-04-26 17:25)
★たかぼんさん
株主のことは描かれていなかったので、あまりイメージできないのですが
お給料を株で支払われた社員は可哀想でした(>_<)
そういえば、平日昼間の公演の割に男性も多かったのは
テーマに興味があって足を運んだ人もいたのかも。
by hatsune (2012-04-26 17:31)